介護現場で起こるハラスメントの中には、パワーハラスメント(パワハラ)があります。介護現場では、利用者から職員によるパワハラ被害がよく問題になっています。パワハラが起こりやすいのは、介護の業務の特殊性が関係しています。そもそも介護の仕事は、食事や入浴、排せつなどの介助など日常生活の支援であり、利用者やその家族からはやって当たり前という感情があるため、その業務の大変さを理解して貰いにくい仕事でもあります。また多くの介護施設では、慢性的な人材不足に悩まされており、利用者1人1人に十分な対応が出来ない事もあります。こういった状況を知られると、利用者だけではなく、その家族から施設の対応がずさんだと批判を受ける事になるのです。
利用者の家族から批判を受けた時、きちんと説明をして納得させないと、今後もこの関係はずっと続くようになります。そして利用者よりも施設側の立場が下になり、明らかにサービス内容とは考えられない無理な要求を突きつけられるようになるのです。特に利用者側からパワハラを受けやすいのは密室での仕事となるヘルパーです。介護のやり方、利用者への接し方などを厳しく命令されたり、本来の業務内容ではない仕事を拒否すると、施設に連絡をしてヘルパーの態度を非難したりするようになるのです。このようにパワハラが横行している現場では働きたいと思う職員もいません。その結果、離職する職員が増えていき、さらに人手不足が問題になっていきます。利用者側からのパワハラが加速しないためにも、普段からスムーズな対処が出来るようマニュアルを作成しておく必要があります。